読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ねざめ堂

アニメ・映画・音楽

世界を図式化せずに物語る ~『風立ちぬ』感想

『風立ちぬ』については、以前『たまこまーけっと』と絡めてかなり長々と書いたことがあるんですけど、単独の記事がないことに気がついたので、テレビ初放映に便乗してみました。 記事中はネタバレがありますので、ご注意ください。 ◯両義性へのこだわり こ…

『たまこまーけっと』を振り返る 第2話

ここ数年、バレンタイン時期になると『氷菓』の『手作りチョコレート事件』とこの話はかならず観返してます(今年もみました!アニメの中のバレンタインって...いいよね)。 本文中は『たまこまーけっと』全話、『たまこラブストーリー』のネタバレがありま…

わからない、を楽しむ ~中山康樹の訃報によせて

こちらのニュースを受けて書いた記事です。 「スイングジャーナル」元編集長の中山康樹さん死去:朝日新聞デジタル ◯ 以前マンションで一人暮らしをしていたころ、自室のユニットバスに「フロ・トイレ専用文庫」を設置していた。といってもトイレの給水タン…

『たまこまーけっと』を振り返る 第1話

2回にわたる前振り(「序論」「第0話 オ−プニングについて」 )を経て、やっとこさ第1話の振り返りです。『たまこまーけっと』シリーズ全話+『たまこラブストーリー』のネタバレがありますのでご注意ください。

『劇場版 PSYCO-PASS サイコパス』感想

すごーく手堅く、かつサービス満点な「番外編」を見せてもらった感じでした。『サイコパス』シリーズに加えて、チラっと『魔法少女まどか☆マギカ』のネタバレがありますので、ご注意ください。

立体作品としての音楽  ~ブライアン・イーノ『シュトフ・アッセンブリィ』感想

BRIAN ENO『THE SHUTOV ASSEMBLY』(1992年)の感想です。 昨年末に、このアルバムを含むブライアン・イーノの90年代4作品が、ボーナス・ディスクを追加してリイシューされておりました。目玉はやっぱり『NERVE NET』に付属の、幻のアルバム『MY SQUELCHY…

『たまこまーけっと』を振り返る 第0話 オ−プニングについて

年が明けての1回目は、放送2周年の『たまこまーけっと』記事。月1~2回のペースで、全12話分。年内には予定通り終わっているといいな、ぐらいのゆる~い企画です。 (このシリーズの前振り記事はこちら→序論「結局、デラってなんだったの?」 ) 今回は…

雑感:今年もまた暮れてった(2014年アニメベストなど)

大晦日。厳かな除夜の鐘の音とともに、今年経験した大切な思い出のひとつひとつが、じんわりと胸に蘇ります。嘘です。今年もアニメぐらいしか良い思い出がなかったな、うん。 普通こういう振り返り記事は、もうちょっと早くアップするものですよね。いまごろ…

軟着陸は可能か? ~『ゴーン・ガール』感想

映画『ゴーン・ガール』オフィシャルサイト 面白かった! 149分かけて、物語のスタート時には想像もしなかった奇妙な地点まで連れていかれてしまう、ワープホールみたいな映画でした。 公式サイトのリンクを貼りましたが、もし観にいく予定があれば、内容に…

『たまこまーけっと』を振り返る:序論「結局、デラってなんだったの?」

※『たまこまーけっと』全話のネタバレがありますので、ご注意ください。 『たまこラブストーリー 』円盤発売のときの記事 で、「たまこ関連の記事はこれで最後」みたく書いたのをあっさりと覆して、「『たまこまーけっと』を1話ずつ振り返る企画をやろう!…

美少女キャラの消失 〜『かぐや姫の物語』感想(短縮版)

12月3日に、『かぐや姫の物語』BD/DVDがリリース。 映画『かぐや姫の物語』DVD・Blu-ray情報 今回はこれに便乗して、以前書いた感想記事の短縮バージョンです。 この作品が、現在の日本アニメがおかれた状況を批評的に描いた寓話だった、という観点からの…

甘城ブリリアントパーク 第8話『恋心が届かない!』感想

ネタバレ注意です。 シンプルにギャグ回としても面白いし、作品のテーマにも直結と、充実回だった第8話。個人的には、コミュ障の西也と中城椎菜のあいだの溝を、いすずやモッフルたちが「コミュニケーションのリレーに失敗することで、逆に繋ぐ」というあた…

甘城ブリリアントパーク 第7話『プールが危ない!』感想

もうちょっと話がたまってから感想を書く予定だったんですけど、前回書いた、1~6話通しての感想記事とけっこうダイレクトに繋がる内容のエピソードだったので、思わず更新。ネタバレ注意です。 前回の記事でも第4話をメインに取り上げましたが、現在まで…

可児江西也と千斗いすずは「バディ」になれるのか 〜『甘城ブリリアントパーク』感想

『甘城ブリリアントパーク』前半終了なので、第1〜6話通しての感想を。ネタバレ注意です。 第3話までは、パークの全体的・外面的な窮状がメインに描かれていた『甘ブリ』ですが、第4話(感想 )・第6話と、ヒロイン・千斗いすずの心情にフォーカスした…

『PSYCO-PASS サイコパス』 1期・2期の殺人描写の違いと「作中悪」について

現在放映中の『PSYCO-PASS サイコパス2』。全11話とのことなので、先日放映された第5話で前半戦終了の模様。 毎週おもしろいな~!とかぶりつきで観てるんですけど、この2期、劇中での人の「殺され方」、暴力の描写が1期とはだいぶ違いますよね。 1期がすご…

甘城ブリリアントパーク 第4話『秘書が使えない!』感想

第4話がすごく好きなエピソードだったので、思わず更新。ネタバレ注意です。 ◯ 千斗いすずのキャラクターとしての「覚醒回」だった第4話。描かれたモチーフとしては「適材適所」みたいなことがひとつありました。 いすずが軍人の家系出身だったことが明らか…

『PSYCO-PASS サイコパス』(1期)を振り返る

現在放映中の『PSYCO-PASS サイコパス2』がすごーく面白くて、この2期をより楽しむために、自分なりに1期を振り返ってみたくなりました。ということで、『PSYCO-PASS サイコパス』感想です。 こういう企画は2期放映前にやればいいものを、おもいきりタイ…

うさぎ山商店街の 「 if 」としての『甘城ブリリアントパーク』

もう気付いてる人も多いと思うので、ちょっと今更感あるんですけど、『たまこまーけっと』ファンとしてはやはり言っておきたい!とウズウズしてしまったので、第1話の感想もかねておもわず更新。 『甘ブリ』って、『たまこま』を意識させるシーン入れてきて…

拡散と凝縮 ~ たまこラブストーリー 感想

『たまこラブストーリー』BD/DVDが10月10日(金)に発売(Blu-ray & DVD:PRODUCT | 『たまこラブストーリー』公式サイト)!ということで、記念?更新です。 『たまこま』と『たまこラ』に関しては、なにしろ好きなのでこれまでにも何度か記事を書いてきた…

線的な物語/面的な物語

このブログを書くにあたって、これまで何度か「線的な物語/面的な物語」という言葉を使ってきました。例えば、このあたりの記事 ↓ 『たまこまーけっと』と『風立ちぬ』 3.11以降の主人公たち ㊥ 「まーけっと」から「ストーリー」へ 〜 『たまこラブストー…

成長と、その失敗の物語 〜『思い出のマーニー』感想

※映画・原作のネタバレを含みますので、ご注意ください。 正直あまり期待してなくて「一応おさえとくか」ぐらいな感じで先日やっとこさ観た『思い出のマーニー』…ところが、これがめちゃくちゃ良かった。エンドクレジットを眺めながら「 ”おさえとくか” なん…

「身も蓋もない」という誠実さ ~ 『ソーシャル・ネットワーク』感想

『ソーシャル・ネットワーク』(2010年)は、マーク・ザッカーバーグがFacebookを立ち上げ、それが巨大化していく様を描いた作品で、つまり実在の人物・出来事を題材にとっていました。 とはいえ、さまざまな出来事の断片からなる誰かの人生を、一本のストー…

北野映画、「遊び」の意味の変遷  ~『ソナチネ』『菊次郎の夏』感想

8月ももうすぐ終り。「今年もまた夏らしいことができなかった…」というガッカリ感がヤバいので、せめてもの夏のしめくくりにキタノブルーでも!と思いたって、何本かまとめて北野映画を観返すなど。今回はその中から『ソナチネ』と『菊次郎の夏』の感想です…

「分人」の視点からみる『ゆゆ式』 ~『ゆゆ式』感想 その②

※その①はこちら→ 『ゆゆ式』感想 その① 今回は「分人」という視点から、アニメ『ゆゆ式』を見てみます。 「分人」は作家の平野啓一郎が提唱しているあたらしい言葉・人間観で、それについて書かれた新書(『私とは何か 「個人」から「分人」へ』)は話題にな…

友情/独立/分人 ~『ゆゆ式』感想 その①

ふと気付けば、アニメ版『ゆゆ式』の放映からはや丸1年…ってウソだろ! と唖然としたのが先月のこと。それから少しずつ見返して、先日最終話まで見終えのですが、いやーやっぱり面白いです。見ればみるほど脚本も演出も緻密。 原作・アニメともに、この作品の…

雑感/どうして記事が長くなってしまうのか?他

かなりとりとめのない雑感、月末の反省会的記事。なぜか一瞬『魔法少女まどか☆マギカ 叛逆の物語』のネタバレがあります。 丁稚:番頭さん、ちょっとこの記事読んでみてくださいよ。 (15年2月1日追記:アニメ専門サイト『AniFav』の『たまこラブストーリー…

ダフト・パンク『ランダム・アクセス・メモリーズ』感想

Daft Punk 『Random Access Memories』がリリースされたのは去年の5月で、すごく気に入って夏のあいだよく聴いてました。 大ヒットした先行シングル『Get Lucky』はえらく景気の良いイメージがあったけど、全体を通して聴くと、ムード的にも表現している内…

「内」と「外」 ~『ハナヤマタ』と『けいおん!』、演出の視点について

先日放映が開始された『ハナヤマタ』。 きらら系原作、シリーズ構成が吉田玲子、そして冒頭いきなり『けいおん!』まんまのシチュエーションでの演奏シーンをぶっこんできたということで、「おっ攻めの姿勢!」と軽くのけぞったんですが、このあたりについて…

北白川たまこの孤独と、その解消

わりとよくいわれることですが、『たまこまーけっと』の北白川たまこは、感情移入のし辛い主人公でした。ファンのあいだでも「サブキャラは応援したくなるけど、たまこは何考えてるのかわかんなくてちょっと不気味」なんて意見がチラホラきかれたぐらい(あ…

「連関天則」の意味するもの 〜『中二病でも恋がしたい!戀』感想②

このあいだアクセス解析を眺めていたら、「連関天則」のキーワード検索経由でこのブログを覗いてくれる方が時折いるらしいことに気づきました。 「連関天則」は『中二病でも恋がしたい!戀』のキャラクター、七宮智音が何度か口にする中二用語で、作品を理解…

洋楽好きに「日常系アニメ」の魅力を布教してみた。

最近ちょっとアニメに興味が出てきたという、非オタで音楽好きの友人との会話を元ネタにして書いてみました。 丁稚:今回は、音楽好きな番頭さんにむけて「日常系アニメ」の魅力を説明してみよう、という企画です。 番頭:日常系アニメって『けいおん!』と…

100年後のアダムとイヴの物語 ~ 長谷敏司『BEATLESS』感想

長谷敏司のSF長編小説『BEATLESS』*1(2012年)の感想。以前某サイトに投稿した文章を、ちょっと手直ししたものです。 この小説はもともとは月刊Newtypeに連載されていたそうで、redjuice(音楽プロデューサー・kzとのコラボや、アニメ『ギルティ・クラウン』…

『ハンコック』にみる、"アメリカ" のオリジナル・コンセプト 

今日の夜テレビ放映、ということで思い出して、以前書いた文章をひっぱり出してみました。結末には触れていませんが、一部ネタバレを含みますのでご注意ください。 宗教がかった『アイ・アム・レジェンド』といい、ヘンな映画ばかり撮っているアレックス・プ…

「はみだし者」の存在意義 〜 僕らはみんな河合荘 感想

※『僕らはみんな河合荘』第6話『もしかして』のネタバレがありますのでご注意ください。 アニメやまんがにでてくる「下宿」や「寮」って、「変人の巣窟」なことが多いですね。とくに、そこが作品のメイン舞台の場合。 作り手は「おもしろい話」を作ろうとし…

美少女キャラの消失 〜『かぐや姫の物語』感想

幾原邦彦監督の、この映画への反応。2013年12月1日のツイート。 そんなに解釈を考えることなく、頭の中、真っ白で観ても十分に面白いと思う。 それでも考えるなら「私たちを食べさせてくれたナウ×カとか美少女は月に帰ってしまいました。それでもここに残さ…

アニメは「あらすじ」ではない 〜 『たまこラブストーリー』感想 (ネタバレなし)

作品の情報量が多すぎて、まだ整理がついていない状態なんですが、もう予想を超えて素晴らしかった。頭クラクラしました。 観ている最中は、つねにスクリーンから気持ちの良い春の風がフワーっとただよってきて、観終わったあとも、映画に出てきたきれいな色…

『氷菓』で考える、技術と表現の関係

きのう、4月28日は、大好きなアニメ『氷菓』の主人公、折木奉太郎君の誕生日だったそうです(どうせなら間に合わせてアップしたかった)。小説『ふたりの距離の概算』では、けっこうハラハラな誕生日を過ごしていましたが、今年はどんな感じだったんでしょう…

サリーと鹿目まどか 、トム・ヨークと堀越二郎 〜『モンスターズ・インク』感想

『モンスターズ・インク』と『魔法少女まどか☆マギカ』のネタバレを含みますので、ご注意ください。 ◯ 映画の舞台は、モンスターたちが生活する世界。 この世界は、人間の子供があげる悲鳴をエネルギー源にして動いています。「モンスターズ・インク」は、そ…

「まーけっと」から「ストーリー」へ 〜 『たまこラブストーリー』への期待と妄想

いよいよ公開が近づいてきた『たまこラブストーリー』。 テレビシリーズのファンとしては、すごく楽しみなんです。公開に先立って、TBSオンデマンド他で『たまこまーけっと』の全話無料放送もあるそうです。こんどの週末、4月19日(土)24:00 ~ 4月20日(日…

「好き」を続けていくために 〜『中二病でも恋がしたい!戀』感想

※『中二病でも恋がしたい!』(1期・2期)のネタバレを含みますので、ご注意ください。 ◯ 1期でヒロイン・六花は勇太とつきあい始めましたが、恋愛は必然的に、自分の周囲の状況に「変化」をもたらすもの*1。2期『戀』の六花はそのような「変化」にとま…

「物語の力」についての物語 〜 Wake Up,Girls! 感想

先日、最終回が放映された『Wake Up, Girls!』。 地元・仙台が舞台になっているということで、ちょっと贔屓しつつ、いろいろとハラハラしながら応援していたのですが、良い作品でした。緑の多い街並の雰囲気とかもすごく上手く出ていて。 街を歩いていると、…

日常系アニメこそ作画が命、という話

ちょっと前にニコニコ生放送で、ある「日常系アニメ」を観ていたときのこと。 私は基本的にはコメントを表示しない派なのですが、その回はテレビ放映分をすでに観ていたこともあり「たまには」と、めずらしくコメント表示をONにして楽しんでいました。 その…

『たまこまーけっと』と『風立ちぬ』 3.11以降の主人公たち ㊦

「たまこと二郎」編 ㊤編はこちら → はてなブログ ◯赦されない主人公、二郎 『風立ちぬ』で、二郎の葛藤がほとんど描かれなかった理由について、高橋源一郎はこのように分析していました。 この人(二郎)が戦争の責任や苦しみを感じて、葛藤を持つと、普通…

『たまこまーけっと』と『風立ちぬ』 3.11以降の主人公たち ㊥

『たまこまーけっと』編 ◯「内面」のわかりにくい主人公 TVシリーズ『たまこまーけっと』を受けて、四月に公開予定の映画『たまこラブストーリー』の公式サイトに、山田尚子監督へのインタビュー(SPECIAL | 『たまこラブストーリー』公式サイト)が掲載され…

『たまこまーけっと』と『風立ちぬ』 3.11以降の主人公たち ㊤

『風立ちぬ』編 ◯はじめに 「感情の読めない声」を与えられた主人公たち 『たまこまーけっと』と『風立ちぬ』。 2013年に制作された、という以外には共通点のなさそうな、ぜんぜん作風のちがうアニメです。でも私はこのふたつの作品に、似通った感触を感じま…