ねざめ堂

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雑記:『リズと青い鳥』


※この雑記は次回更新時に削除します


本日から公開の『リズと青い鳥』観てきました。

『リズと青い鳥』公式サイト

 
ネタバレは避けつつ、でも何か言ってみたい衝動に負けての勢いまかせのつぶやきなんですが、えーとこのアニメーションは今までのアニメーションが扱ったことのない領域を描いていてですね、同時にそれは実写映画には絶対に描くことのできない領域でもあって、つまりですね、この『リズと青い鳥』によってアニメーションはまた一歩進化をとげてしまったのです!(早口)

ハードコアなまでに静謐でミニマル、でありながらとんでもなく豊かな細部、アニメ的なお約束やサービスはほぼ無く、にも関わらずひとりよがりに陥らず商業アニメとして開かれていて、でもやっぱりこれ異様だよね…という奇跡的な(アン)バランス。

最高なことにわからないところがいっぱいあるので、これは何度も劇場に通っちゃうやつです。ひょっとして京都アニメーションの歴代最高傑作なのでは…というか、いままでと登ってる山が違いすぎてほんと「異形」の作品。いやもちろん、培ってきた蓄積のうえに新たなチャレンジを積み上げているわけですが。

脚本は山田尚子監督と長年タッグを組み続けている吉田玲子が担当しているんですけど、さまざまな説明が思い切って削ぎ落とされていて、これ監督の力量への深い信頼がないとこの脚本は預けられないだろうなあと思って、そういうところにもいたく感動しました。

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』感想①:変えられる / 変わってしまうものとしての過去

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 放映中のアニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』(公式サイト)の感想です。原作小説は未読なので、アニメ版のみについての内容になっています。

 今回はテーマごとに、記事を ①過去編 ②未来編 の2本に分けてみました。どちらも、第1話~第6話(現時点での最新話)までのネタバレをしていますので、ご了承ください。

 

◯過去と現在の相互作用

 『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』が扱っている中心的なテーマは「過去と現在の相互作用」ではないかなーと思います。

 「過去」と「現在」との関係について、一般的には、過去に起こった出来事は「もう変えることのできない、固定化されたもの」で、その固まった土台の方向性の上に「現在」が積み重なっていく…みたいな捉え方をされることが多いと思うのですが(美少女ゲームのルート分岐を連想してもらっても良いかもしれません)。

 でもこの作品で表現されているのは「過去と現在はお互いに影響を与えあっているんだ」という認識なのですね。*1

 こうした認識は、作品のOP/EDテーマ曲のアートワークでも表現されています。2枚のジャケットを合わせると1枚の絵になるデザインなんですけど、

 

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(左:OP曲 右:ED曲)

 

 「現在」のヴァイオレットと「過去」のヴァイオレットのあいだを無数の手紙が行き交っており、両者があわさって「一通の手紙」になっている、というアートワークなんですね。過去と現在が、見方によっては、ヴァイオレットという一人の人間のなかで同時進行している…みたいなイメージ。

*1:もしかしたら京都アニメーションが、90~00年代美少女ゲーム的な「ルート分岐・マルチエンディング式作話」から「我々にはひとつのルートしか選べないが、そのルートには(個人の主観のなかでは)可塑性があるんだぜ式作話」へとステップを進めたのではないか...という個人的な仮説(妄想)を持っているのですが。

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