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(宣伝)『PSYCHO-PASS サイコパス』シリーズ感想記事

 

※この宣伝は次回更新時に削除します

10月スタート予定のアニメ『PSYCHO-PASS サイコパス 3』。先日、「毎週1時間×全8話」という、テレビアニメとしてはイレギュラーな放送形式が発表されて話題になっていました。

 

psycho-pass.com

 

1話あたりの長尺化は、海外ドラマとの競合/親和性が念頭に置かれている…のかどうかはわかりませんが(配信は国内・海外ともにアマゾンプライム)、30分枠だった1期・2期とはひと味違う、長い呼吸のストーリーテリングをみせてくれるんじゃないかなあと楽しみにしています。

制作がプロダクションI.Gなのでもちろん映像にも期待なのですが、私はこのシリーズを「脚本アニメ」と認識してしまっている割合が大きいので(あまり上等な見方ではない)、シリーズ構成を『2』にひき続き冲方丁が担当しているのがいちばんの注目ポイントです。

虚淵玄がメインライターをつとめ、「魔法のないまどマギ」と呼べる物語構造を持っていた『1』は、全体に派手な見せ場の多いドライブ感の効いたストーリーに仕上がっており、エンタメ度の高いシリーズでした。

物語の終盤では、社会システムについての看過できない、でも解決不能に思えるジレンマが提示される。で、そのままだとモヤモヤとした雰囲気で終わりそうなところを、すっと視聴者の視線を別なドラマのほうに逸らして、ちゃんとカタルシスを演出して終わるんですよね。

魔法の存在する世界観だった『まどマギ』では(大きな代償をともない、かつ不完全な形ではあれど)解決できた問題が、『サイコパス』では解決できない。だから安易な解決は描かないよ、とあえてモヤッとした雰囲気を強調して終わるという選択肢もあったと思うんですが(そういう作品もたくさんありますよね)、いや、『サイコパス』はエンタメとしてのカタはきっちりつけるよと。上手いかわし方するなあ!と唸りました(皮肉じゃなくて純粋な賞賛です)。

いっぽう『1』よりも地味な印象はあるものの、緊密な展開でもってテーマ的により攻めた領域に踏み込んでいたのは『2』のほうだった、という印象があります。

(もちろん『1』があらかじめ世界観や魅力的なキャラクターをしっかり固めていたからこそ、『2』での「攻め」が可能になっているわけですが。)

『1』が終盤でチラ見せした社会システムの問題と、『2』は正面からがっぷり組み合っていく。しかも、同時進行で制作が進んでいた『2』の後日譚(虚淵玄深見真が脚本を書いた劇場版)とのあいだに整合性が保たれていなくてはならない。

冲方丁は劇場版の試写のあと「(『2』と劇場版が)なんとか上手いことつながっていてホッとした」と語っていましたが、『2』のシリーズ構成はほんと離れ業だと思います。

そういった、『1』と『2』それぞれの魅力や違いなどについては、過去にこのブログで感想記事を書いているのでよろしくお願いします!(流れるような美しい宣伝)。

 

『PSYCO-PASS サイコパス』(1期)を振り返る

『PSYCO-PASS サイコパス2』を振り返る

 

※現在アマゾンプライム特典で『1』『2』両方観られるみたいです。

『リズと青い鳥』雑感(再掲)

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 このブログでは年末に『今年もまた暮れてった』というタイトルの記事を掲載するのが毎年の恒例行事になっています。

 内容はたいてい、雑然とした一年間の振り返り。短時間で書き散らしてさっとアップして、お正月が過ぎると引っ込めてしまうという、松飾りみたいな感覚で気軽に更新している記事です。

 去年、2018年末の記事では、春に公開された『リズと青い鳥』(制作:京都アニメーション)にまつわる雑感を書いておりました。なにせ上に書いたような性質の文章なので、読み返してみると、勢いまかせの乱暴なところが目につきます。

 でもそのぶん、昨年末にひとりのアニメ・映画好きが、幸せな驚きをもって京都アニメーションの作品と向きあっていた感じが無防備に表れているのではないかな、と思い、あらためて投稿し直すことにしました。

 (以下、2018年末の記事の再掲です。基本的にストーリーには触れていませんが、記事のいちばん最後で、ちょっとだけ結末についての感想を述べています。ネタバレを気にする方はご注意ください。)

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『ハウンター』感想:抑圧の連鎖と、その終焉

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 ヴィンチェンゾ・ナタリ監督『ハウンター』(2013年)の感想です。

 近年ではドラマでの活動が目立つナタリにとっての、いまのところ最後の「劇場用映画」(この定義も揺らいでいるのでカギ括弧つき)。
 


Haunter Official Trailer #1 (2013) - Abigail Breslin Movie HD

 

 この監督については、長編デビュー作『キューブ』(1997年)から『スプライス』(2009年)までのキャリアをざっと振り返るような記事を書いたことがあったんですが、今回の記事はその補完という位置づけです。

 

『スプライス』感想:抑圧と反発の連鎖

 
 テーマや物語構成の面において、『ハウンター』はかなりの程度、ナタリの前作『スプライス』と対になる作品として構想されています。

 本文中では両作の対照関係にふれる都合上、『ハウンター』にくわえて『スプライス』のネタバレもしているので、ご了承ください。

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