読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ねざめ堂

アニメ・映画・音楽

宣伝:『たまこまーけっと』関連記事・『聲の形』BD/DVD発売など

※この宣伝記事は今月中に消滅します。

 

こんどの土曜日(明後日)ニコニコ生放送で『たまこまーけっと』が一挙放送だそうです。

「たまこまーけっと」全12話一挙放送 - 2017/03/18 16:00開始 - ニコニコ生放送

じつはこのアニメ、『氷菓』とならんで京アニ史上もっともニコ生に向かないアニメだと思うんですけど、コメントは消せるし、タイムシフトで都合のよい時間に観られるのはありがたいです。気になっていた方は、この機会にぜひ。

スマッシュヒットして賞なんかも穫った『たまこラブストーリー』の影に隠れがちな『たまこまーけっと』だけど、売り上げ的には盛大にコケた『たまこまーけっと』だけど、でも名作なんだからね!

(エモくなりすぎない「抑制の美学」が利いているという点では京アニ作品中でもピカイチ...商業的にはそのあたりも裏目に出た気もするけど、良いんだよ〜!)

当ブログでたくさん書いた『たまこまーけっと』関連の記事を整理して、読んでいただけると嬉しい記事4本をピックアップしてみたのがこちらです。

『たまこまーけっと』『たまこラブストーリー』記事のまとめ 

 

                     ◯

 

映画 聲の形』のBD/DVDが5月17日に発売。

Blu-ray&DVD | 映画『聲の形』公式サイト

特典の豪華さがファンのあいだで話題になっていますが、とくにBD版に付属の音声特典『inner silence』は音楽・牛尾憲輔による2時間越えのトラック!公式サイトでの説明は、

invention no.1 と本編ラストを彩った lit(ver) を解体再構成して、本編全編にわたり収録。もうひとつの作品世界を提示するアンビエント/ドローン音響。

これは、このインタビューでちらっと話していたような、作品の初期コンセプトの具体化...ということみたいです。

牛尾:この映画で20数小節の曲である(J.S.バッハの)「インベンション」を2時間かけて順番に演奏しているのは、あの曲がピアノの「練習曲」だからなんですね。最後の、文化祭に入る直前であの曲が終わるのは、将也が練習曲を終えて、次に進む準備ができたということをあらわしています。

音響監督の鶴岡(陽太)さんが「他の音と重なってもいいから、全編ずっと『インベンション』を鳴らそうよ」と言ってくださったんですけど、さすがにそれは......(笑)と。ただ実は20数小節を映画の時間に合わせて引き延ばしたトラックは、僕、つくってあるんです。だから何かの特典にそれを付けようと思えばできる。ただ、劇中で使用されているトラック以上に遅いので、いろんな音が伸びまくって、音像がもう大変なことになってるんですよ。

ーー:ピアノの音がドローン(持続音)みたいになっていると(笑)。

映画『聲の形』音楽・牛尾憲輔インタビュー - Excite Bit コネタ(2/11)

鶴岡陽太、過激なこと言うなあ...。もちろん、単純に音を2時間に引き延ばしただけではなくて様々な加工・調整・再構築がなされているはず。こちらのリンク先で、牛尾憲輔によるもうちょっと詳しい解説も読めます。

牛尾 憲輔 - 映画 『聲の形』Blu-ray版用に、本編全編にわたる2時間超の新曲を作りました。... | Facebook

大事なのは、この音声特典を選択するとセリフや効果音は一切流れないという点ですね。音楽と映像のみ。『聲の形』という作品のコンセプトありきの音楽だという点は大前提ですが、牛尾憲輔のニューアルバムとしても楽しめそう。しかも5.1ch仕様の音響作品!

ちなみにポニーキャニオンのサイトでBDを購入すると、この音楽のCDバージョンが特典として付属するそうです。

映画「聲の形」, 映画『聲の形』Blu-ray 初回限定版 | きゃにめ.jp

 

こちらは牛尾憲輔のソロ・プロジェクト「agraph」。

soundcloud.com


agraph - greyscale (video edit)

agraphとしてのまとまったインタビュー(去年のもの)はこちら。「音の悪さっていい音質じゃないとわからない」は名言。

agraph「the shader」インタビュー (1/3) - 音楽ナタリー Power Push

アニオタまるだしのインタビュー(7年前のもの)はこちら。「俺の観てるムギだけが本物だ!!」は至言。

agraph (4/6) - 音楽ナタリー Power Push

 

最後に、このブログの『聲の形』記事の宣伝です。最初の記事は、試写を観た後に興奮して書いた第一印象。二番目のやつは「メモ」と断っている通り、ちょっとした「気付き」についての短めの記事ですが、気に入ってます。よろしくお願いします。

映画『聲の形』感想 ~コミュニケーションの不完全さをあぶりだす

映画『聲の形』感想メモ:「スキ」と「バカ」 

 

                     ◯

 

ちょうど情報が入ってきたので追記:牛尾憲輔が『ピンポン』の湯浅政明監督と再びタッグを組んだ『デビルマン』のリメイクが来年配信とのこと。人気者!

『デビルマン』を湯浅政明監督が現代版リメイク Netflixで来年配信 - 映画・映像ニュース : CINRA.NET

「ハルマゲドンまでやる」ってことは、その前のアレも映像化されるのか...。「なんで2018年にデビルマンのリメイク?」という疑問にどう答えてくるのかも含めて大注目です。

あと、究極のBLだよねこれ。

 

『クズの本懐』感想:代替可能な恋愛関係

クズの本懐 アニメ

f:id:tentofour:20170223065926j:plain

 現在ノイタミナ枠で放映中のアニメ『クズの本懐』(公式サイト)。

 昼ドラばりの扇情的なエロ展開を連発しているようでいて、根っこの部分では青春ものの王道テーマをきっちりとふまえた良作で、毎週楽しく観ております。花火ちゃん愚かわいい。

 この記事は、原作マンガ・実写ドラマ版は未見状態での、アニメ第1話~第6話までの感想です。1万字近くあるので、お時間のあるときにのんびりと読んでいただけると嬉しいです。

 ネタバレを含みますのでご注意ください。

 

◯代替可能な恋愛関係

 『クズの本懐』は、普通は「かけがえのない=代替不可能」なものである、とされている恋愛関係を「かけがえのある=代替可能」なものとして扱う…という点がフックになっている作品ですよね。

 この「恋愛関係の代替可能性」は、第1話冒頭から、ヒロイン・花火のモノローグによって明示されます。

f:id:tentofour:20170223083953j:plainf:id:tentofour:20170223083947j:plain

「私たちは付き合っている。でも、お互いがお互いの、かけがえのある、恋人」

 花火も、そしてパートナーの麦もそれぞれに「本命」の相手が別にいて、でもその相手には手が届かないので、寂しさを埋めあわせるための「代わり」としてお互いを利用している。そういう契約関係としての「恋人(仮)」。

 なので、キスやペッティングをしているときも、お互いの頭のなかに思い浮かべるのは「本命」の姿。あくまで「本命」がいるうえでの(仮)の恋人なので、花火にとっては相手は麦じゃなくてもいい、麦にとっても相手が花火である必然性はない…ということで、花火は自分に想いを寄せる早苗と、麦は中学時代のセフレとそれぞれ寝たりもする。

f:id:tentofour:20170223084100j:plainf:id:tentofour:20170223084106j:plain

 かけがえのない「本命」がいて、それ以外の人間は本命の「代わり」でしかない。ゆえに「代わり」の人間たちはすべて等価で、代替が可能…という関係性。

 花火にとって本命の「お兄ちゃん(鐘井先生)」がどれだけ「かけがえのない」存在であるかは、第1話で告白してきた相手を花火が振ったときのセリフにも表れていました。

f:id:tentofour:20170224200733j:plainf:id:tentofour:20170223084423j:plain

「興味のない人から向けられる好意ほど、気持ちの悪いものってないでしょう?」

  お兄ちゃん以外からの好意なんてキモいだけだからいらん、と。

 このセリフは、幼いころから鐘井に好意を向け続ける自分にもブーメランとして帰ってきてしまうんですがそれはともかく、ここに表れているのは花火の純粋さ・潔癖さです。

 「本命」への気持ちが一途すぎるがゆえに、その感情を持て余してこじらせた結果として「代替可能な恋愛関係」という泥沼に足を踏みいれてしまった花火。このアニメのキャッチコピーは「私たちはまっすぐに、歪んでいく。」ですけど、まさにそういう感じです*1

*1:花火に恋愛相談を持ちかけてきたクラスメイトたちが、スペックを基準に二股中の彼氏を「どっちがいいかな~」と悪意なくナチュラルに比較するシーンがありましたが(その彼氏のほうも彼女に同じようなことをしている)、「普通」っぽいこの子たちに比べたら「クズ」の自覚をもって歪んでいく花火たちはほんとまっすぐに見えます。

続きを読む

『Dolls ドールズ』感想 ~人が向きあうことの困難さ

北野武 映画

f:id:tentofour:20170130214359j:plain

 北野武監督『Dolls ドールズ』(2002年)の感想です。

 じつはこれ、長年「北野監督のなかではイマイチだな〜」という印象をもっていた映画だったんですが、先日の深夜テレビでやっていたので久々に観てみたら、思いのほか良くてびっくり。よくいわれることではあるけれど、作品の受けとり方って本当にトシとともに変わるものですね。

 本文中はネタバレありです。

 

◯相手のことが見えないカップルたち

 映画の冒頭に映し出される人形浄瑠璃の舞台。人形遣いに操られる人形と、それを見つめる人間の観客たち。

 しかし、いつしか人形遣いの姿が消えて、人形はひとりでに動きだします。やがて「見る・見られる」の関係が転倒し、人形たちの視線のもとで、人間たちによる物語が繰り広げられていく…という導入部。
                   ◯

 その導入部に続いて、本編には3組のカップルが登場し、3つの物語が語られていきます。

①「つながり乞食」の物語
②老ヤクザと昔の恋人の物語
③アイドルと追っかけの物語

 このうち、①が映画の最初から最後までを貫く縦糸になっており、②と③がそれと平行して語られるという構成なのですが、この3つの物語は共通したシチュエーションを描いています。それは、

求める相手がすぐ隣にいるのに、その人のことが見えない(認識できない)

 というシチュエーションです。

続きを読む