ねざめ堂

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『PSYCO-PASS サイコパス』 1期・2期の殺人描写の違いと「作中悪」について

現在放映中の『PSYCO-PASS サイコパス2』。全11話とのことなので、先日放映された第5話で前半戦終了の模様。 毎週おもしろいな~!とかぶりつきで観てるんですけど、この2期、劇中での人の「殺され方」、暴力の描写が1期とはだいぶ違いますよね。 1期がすご…

甘城ブリリアントパーク 第4話『秘書が使えない!』感想

第4話がすごく好きなエピソードだったので、思わず更新。ネタバレ注意です。 ◯ 千斗いすずのキャラクターとしての「覚醒回」だった第4話。描かれたモチーフとしては「適材適所」みたいなことがひとつありました。 いすずが軍人の家系出身だったことが明らか…

『PSYCO-PASS サイコパス』(1期)を振り返る

この記事は、2014年夏に放映された『PSYCO-PASS サイコパス 新編集版』(全11話への再編集・新規カット追加版)に準拠して書かれています。 感想を書くにあたっては、『サイコパス』(1期)全編にくわえて、ストーリーをつくるうえで参照したと思われる映画…

うさぎ山商店街の 「 if 」としての『甘城ブリリアントパーク』

もう気付いてる人も多いと思うので、ちょっと今更感あるんですけど、『たまこまーけっと』ファンとしてはやはり言っておきたい!とウズウズしてしまったので、第1話の感想もかねておもわず更新。 『甘ブリ』って、『たまこま』を意識させるシーン入れてきて…

拡散と凝縮 ~ たまこラブストーリー 感想

『たまこラブストーリー』BD/DVDが10月10日(金)に発売(Blu-ray & DVD:PRODUCT | 『たまこラブストーリー』公式サイト)!ということで、記念?更新です。 『たまこま』と『たまこラ』に関しては、なにしろ好きなのでこれまでにも何度か記事を書いてきた…

線的な物語/面的な物語

このブログを書くにあたって、これまで何度か「線的な物語/面的な物語」という言葉を使ってきました。例えば、このあたりの記事 ↓ 『たまこまーけっと』と『風立ちぬ』 3.11以降の主人公たち ㊥ 「まーけっと」から「ストーリー」へ 〜 『たまこラブストー…

成長と、その失敗の物語 〜『思い出のマーニー』感想

※映画・原作のネタバレを含みますので、ご注意ください。 正直あんまり期待してなくて「一応おさえとくか」ぐらいな感じで先日やっとこさ観た『思い出のマーニー』…ところが、これがめちゃくちゃ良かった。エンドクレジットを眺めながら「 ”おさえとくか” な…

「分人」の視点からみる『ゆゆ式』 ~『ゆゆ式』感想 その②

※その①はこちら→ 『ゆゆ式』感想 その① 今回は「分人」という視点から、アニメ『ゆゆ式』を見てみます。 「分人」は作家の平野啓一郎が提唱しているあたらしい言葉・人間観で、それについて書かれた新書(『私とは何か 「個人」から「分人」へ』)は話題にな…

友情/独立/分人 ~『ゆゆ式』感想 その①

ふと気付けば、アニメ版『ゆゆ式』の放映からはや丸1年…ってウソだろ! と唖然としたのが先月のこと。それから少しずつ見返して、先日最終話まで見終えのですが、いやーやっぱり面白いです。見ればみるほど脚本も演出も緻密。 原作・アニメともに、この作品の…

雑感/どうして記事が長くなってしまうのか?他

かなりとりとめのない雑感、月末の反省会的記事。なぜか一瞬『魔法少女まどか☆マギカ 叛逆の物語』のネタバレがあります。 丁稚:番頭さん、ちょっとこの記事読んでみてくださいよ。 (15年2月1日追記:アニメ専門サイト『AniFav』の『たまこラブストーリー…

「内」と「外」 ~『ハナヤマタ』と『けいおん!』、演出の視点について

先日放映が開始された『ハナヤマタ』。 きらら系原作、シリーズ構成が吉田玲子、そして冒頭いきなり『けいおん!』まんまのシチュエーションでの演奏シーンをぶっこんできたということで、「おっ攻めの姿勢!」と軽くのけぞったんですが、このあたりについて…

北白川たまこの孤独と、その解消

わりとよくいわれることですが、『たまこまーけっと』の北白川たまこは、感情移入のし辛い主人公でした。ファンのあいだでも「サブキャラは応援したくなるけど、たまこは何考えてるのかわかんなくてちょっと不気味」なんて意見がチラホラきかれたぐらい(あ…

『中二病でも恋がしたい!戀』感想②:「連関天則」の意味するもの

このあいだアクセス解析を眺めていたら、「連関天則」のキーワード検索経由でこのブログを覗いてくれる方が時折いるらしいことに気づきました。 「連関天則」は『中二病でも恋がしたい!戀』に登場するキャラクター、七宮智音が何度か口にする中二用語。劇中…

洋楽好きに「日常系アニメ」の魅力を布教してみた。

最近ちょっとアニメに興味が出てきたという、非オタで音楽好きの友人との会話を元ネタにして書いてみました。 丁稚:今回は、音楽好きな番頭さんにむけて「日常系アニメ」の魅力を説明してみよう、という企画です。 番頭:日常系アニメって『けいおん!』と…

「はみだし者」の存在意義 〜 僕らはみんな河合荘 感想

※『僕らはみんな河合荘』第6話『もしかして』のネタバレがありますのでご注意ください。 アニメやまんがにでてくる「下宿」や「寮」って、「変人の巣窟」なことが多いですね。とくに、そこが作品のメイン舞台の場合。 作り手は「おもしろい話」を作ろうとし…

美少女キャラの消失 〜『かぐや姫の物語』感想

幾原邦彦監督の、この映画への反応。2013年12月1日のツイート。 そんなに解釈を考えることなく、頭の中、真っ白で観ても十分に面白いと思う。 それでも考えるなら「私たちを食べさせてくれたナウ×カとか美少女は月に帰ってしまいました。それでもここに残さ…

アニメは「あらすじ」ではない 〜 『たまこラブストーリー』感想 (ネタバレなし)

作品の情報量が多すぎて、まだ整理がついていない状態なんですが、もう予想を超えて素晴らしかった。頭クラクラしました。 観ている最中は、つねにスクリーンから気持ちの良い春の風がフワーっとただよってきて、観終わったあとも、映画に出てきたきれいな色…

『氷菓』で考える、技術と表現の関係

『氷菓』って、地味な佇まいではあるけれど、ものすごく画期的な作品だったと思います。「アニメーションの表現領域を拡大した」といってもいいくらい。 どういうことかというと、『氷菓』の原作小説は登場人物の曖昧で割り切れない感情を扱っていて、その曖…

サリーと鹿目まどか 、トム・ヨークと堀越二郎 〜『モンスターズ・インク』感想

『モンスターズ・インク』と『魔法少女まどか☆マギカ』のネタバレを含みますので、ご注意ください。 ◯ 映画の舞台は、モンスターたちが生活する世界。 この世界は、人間の子供があげる悲鳴をエネルギー源にして動いています。「モンスターズ・インク」は、そ…

「まーけっと」から「ストーリー」へ 〜 『たまこラブストーリー』への期待と妄想

いよいよ公開が近づいてきた『たまこラブストーリー』。 テレビシリーズのファンとしては、すごく楽しみなんです。公開に先立って、TBSオンデマンド他で『たまこまーけっと』の全話無料放送もあるそうです。こんどの週末、4月19日(土)24:00 ~ 4月20日(日…

『中二病でも恋がしたい!戀』感想①:「好き」を続けていくために

※『中二病でも恋がしたい!』(1期・2期)のネタバレをしています。 ◯ 1期でヒロイン・六花は勇太とつきあい始めましたが、恋愛は必然的に、自分の周囲の状況に「変化」をもたらすもの*1。2期『戀』の六花はそのような「変化」にとまどい、その影響で、…

「物語の力」についての物語 〜 Wake Up,Girls! 感想

先日、最終回が放映された『Wake Up, Girls!』。 地元・仙台が舞台になっているということで、ちょっと贔屓しつつ、いろいろとハラハラしながら応援していたのですが、良い作品でした。緑の多い街並の雰囲気とかもすごく上手く出ていて。 街を歩いていると、…

日常系アニメこそ作画が命、という話

ちょっと前にニコニコ生放送で、ある「日常系アニメ」を観ていたときのこと。 私は基本的にはコメントを表示しない派なのですが、その回はテレビ放映分をすでに観ていたこともあり「たまには」と、めずらしくコメント表示をONにして楽しんでいました。 その…

『たまこまーけっと』と『風立ちぬ』 3.11以降の主人公たち ㊦

「たまこと二郎」編 ㊤編はこちら → はてなブログ ◯赦されない主人公、二郎 『風立ちぬ』で、二郎の葛藤がほとんど描かれなかった理由について、高橋源一郎はこのように分析していました。 この人(二郎)が戦争の責任や苦しみを感じて、葛藤を持つと、普通…

『たまこまーけっと』と『風立ちぬ』 3.11以降の主人公たち ㊥

『たまこまーけっと』編 ◯「内面」のわかりにくい主人公 TVシリーズ『たまこまーけっと』を受けて、四月に公開予定の映画『たまこラブストーリー』の公式サイトに、山田尚子監督へのインタビュー(SPECIAL | 『たまこラブストーリー』公式サイト)が掲載され…

『たまこまーけっと』と『風立ちぬ』 3.11以降の主人公たち ㊤

『風立ちぬ』編 ◯はじめに 「感情の読めない声」を与えられた主人公たち 『たまこまーけっと』と『風立ちぬ』。 2013年に制作された、という以外には共通点のなさそうな、ぜんぜん作風のちがうアニメです。でも私はこのふたつの作品に、似通った感触を感じま…