ねざめ堂

アニメ・映画・音楽

『インファナル・アフェア』感想:香港と中国の緊張関係の行方

ひさしぶりに『インファナル・アフェア』を観返したので、簡単な感想を書いておきます。 2002年公開の香港映画ですが、2023年のいま観ると、けっこうやるせない気持ちになる映画でした。 (以下『インファナル・アフェア』と、リメイク作品『ディパ…

雑記:U2、スフィア公演のレビューが出てきた話/ スコセッシの新作が20(金)公開

〇U2、スフィア公演のレビューが出てきた話 U2がラスベガスにオープンした新会場・スフィアにて敢行中の『Achtung Baby』レジデンシー公演。 前回、公演開始前の記事では、そのライブへの期待と不安(?)を書いてみました。 U2:UV Achtung Baby Live At Sph…

U2:UV Achtung Baby Live At Sphere は吉と出るか凶と出るか

〇U2がベガスでショー? U2の大ヒットアルバム『Achtung Baby』(1991年)のリリース30周年を記念したレジデンシー・ライヴが、9月27日からラスベガスのホール「Sphere」で開催されるとのこと。 レジデンシー・ライヴ……「ベガスでの長期滞在型ショー」ときく…

今年もまた暮れてった(雑記)

今年ふれたアニメ・音楽の中から、とくに好きだったものを雑然と振りかえっていきます。

『リコリス・リコイル』感想 ②正しさを志向しない千束の「マクシム」

『リコリス・リコイル』の感想②です。 感想 ①と②では、それぞれ リコリコには「正しさ」を志向しないからこその不埒な魅力がある リコリコは「正しさ」を志向していないように見えるが、しかし…… という話をしています。 ①と②で互いに補完しあう(バディ的?…

『リコリス・リコイル』感想 ①正しさを志向しない不埒な魅力

『リコリス・リコイル』の感想記事2本です。 感想①と②では、それぞれ リコリコには「正しさ」を志向しないからこその不埒な魅力がある リコリコは「正しさ」を志向していないように見えるが、しかし…… という話をしています。 ①と②で互いに補完しあう(バデ…

(雑感想)『リコリス・リコイル』最終回での千束と真島の缶ジュース回し飲みだけど

あれはシンプルに「同じジュースを飲んでも味への感想は違う」=「世界の捉え方や正義への考え方は人それぞれ」ということを表すアナロジカルな演出にすぎないのであってだからあんなことでちさたきはこれっぽっちも揺るいだりしないんですよ!!!! (タイ…

『リーサル・ウェポン』感想:1987年 のベトナム戦争映画

先日、子供のころ大好きだった『リーサル・ウェポン』をウン十年ぶりに観る機会がありました。 www.youtube.com すごく楽しめたし、昔はわからなかったストーリー構成上のポイントなどにも気づけたので、そのあたりをメモ的に書き留めておきます。ネタバレ注…

U2『ZOO TV』:ロック史上最大規模の「まな板ショー」

U2が1990年代前半に行ったワールド・ツアー『ZOO TV』にまつわる文章です。その昔、他のサイトに投稿したものにちょっと手を入れました。 いまだに語り草になっているこのライブの模様は、20年近く前に出たDVD『ZOO TV ライブ・フロム・シドニー』の中古or輸…

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 永遠と自動手記人形』感想

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 永遠と自動手記人形』(2019年)*1のネタバレ感想です。 この記事は、以前書いた『ヴァイオレット』テレビ版感想記事へのごく簡単な付け足し・補遺という位置づけです。そのため、↓を読んでいないと分かりづらい個…

『アイリッシュマン』感想:ビジョンの消失

マーティン・スコセッシ監督『アイリッシュマン』(2019年)の感想です。 ド傑作でした。いろいろな面で素晴らしい映画だけど、とりわけ脚本がすごい。 スティーヴン・ザイリアンって作品ごとの当たり外れが激しい人なので、事前に名前を見たときはちょっと…

『ドリーマーズ』感想(改訂版):アイム・セット・フリー

数年前にアップした、ベルナルド・ベルトルッチ監督『ドリーマーズ』(2003年)感想記事の改訂版です。元記事の文意は変えないままに、読み辛いと感じたところに手を入れました。 本文中では『ドリーマーズ』にくわえて、ジャン・コクトー『恐るべき子供たち…

『リズと青い鳥』雑感(再掲)

このブログでは年末に『今年もまた暮れてった』というタイトルの記事を掲載するのが毎年の恒例行事になっています。 内容はたいてい、雑然とした一年間の振り返り。短時間で書き散らしてさっとアップして、お正月が過ぎると引っ込めてしまうという、松飾りみ…

『ハウンター』感想:抑圧の連鎖と、その終焉

ヴィンチェンゾ・ナタリ監督『ハウンター』(2013年)の感想です。 近年ではドラマでの活動が目立つナタリにとっての、いまのところ最後の「劇場用映画」(この定義も揺らいでいるのでカギ括弧つき)。 Haunter Official Trailer #1 (2013) - Abigail Bresli…

マーティン・スコセッシ:ビジョンの拡大と収縮(後編)

※後編では『ディパーテッド』を中心に、21世紀に入ってからの作品について見ていきます。前編の冒頭で挙げた諸作品のネタバレをしていますので、ご了承ください。

マーティン・スコセッシ:ビジョンの拡大と収縮(前編)

◯前提:「スコセッシ的物語」の原型 マーティン・スコセッシは、ギャングやボクサーや救命士や宣教師といったキャラクターたち、あるいはラスベガスやウォール街、19世紀末ニューヨークの社交界といったコミュニティなど、じつに多彩な題材をとりあげて映画…

『マザー!』感想:「アロノフスキー的物語」の発展型

ダーレン・アロノフスキー監督『マザー!』(2017年)の感想です。 mother! movie (2017) - official trailer - paramount pictures アロノフスキー監督については、長編デビュー作『π』(1998年)から『ノア 約束の船』(2014年)時点までのキャリアをざっ…

『スカイライン -征服-』感想:未知との遭遇(反転バージョン)

アマゾンプライムに入っていたので、なんとなく観てみた映画『スカイライン -征服-』(2010年)。 映画『スカイライン-征服-』予告編 エイリアン侵略もののB級SF映画なんだけど、これ『未知との遭遇』(1977年)の反転バージョンなんですね(以下『スカイラ…

『八つ墓村』感想:戦前と戦後のせめぎ合い

脚本家・橋本忍の訃報をきっかけに、『八つ墓村』(1977年版)をひさしぶりに観返してみました。 八つ墓村 『羅生門』や『七人の侍』、『砂の器』も手掛けている人なのになんで『八つ墓村』?という感じですが、この映画の脚本が橋本さんだということを恥ず…

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』感想④:他者の流入

※感想③はこちら 『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』最終話までに加えて、話の都合で『CLANNAD ~AFTER STORY~』のネタバレもしています。ご了承ください。

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』感想③:未来の流入

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』(公式サイト)については、第6話までが放映された時点で記事を書いたんですけど、 感想①:変えられる / 変わってしまうものとしての過去 感想②:他人のなかの未来の自分 この内容を踏まえたうえで、今回はアニメ最終…

雑記:『リズと青い鳥』

※この雑記は次回更新時に削除します 本日から公開の『リズと青い鳥』観てきました。 『リズと青い鳥』公式サイト ネタバレは避けつつ、でも何か言ってみたい衝動に負けての勢いまかせのつぶやきなんですが、えーとこのアニメーションは今までのアニメーショ…

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』感想②:他人のなかの未来の自分

※感想①:過去編に続き、②未来編 です。今回も、第1話~第6話のネタバレ注意です。

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』感想①:変えられる / 変わってしまうものとしての過去

放映中のアニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』(公式サイト)の感想です。原作小説は未読なので、アニメ版のみについての内容になっています。 今回はテーマごとに、記事を ①過去編 ②未来編 の2本に分けてみました。どちらも、第1話~第6話(現時…

『ジャッキー・コーガン』感想:「アメリカは国家じゃない、ビジネスだ」

アンドリュー・ドミニク監督『ジャッキー・コーガン』(2012年)の簡単な感想です。ネタバレありです。

『スカーフェイス』感想:「競争」と「共同体」の挟み撃ち

ギャング映画の傑作『スカーフェイス』(1983年)の感想です。 Scarface (1983) Blu-Ray Release Trailer HD 監督:ブライアン・デ・パルマ、脚本:オリバー・ストーン、主演:アル・パチーノ、音楽:ジョルジオ・モロダー… と、メインスタッフやキャストの…

ダーレン・アロノフスキー:「自分」という地獄

最新作『マザー!』の日本公開が中止になってしまったダーレン・アロノフスキー監督*1。いったんは封切り日までアナウンスされていたんですが...。 (追記:『マザー!』感想書きました) mother! movie (2017) - official trailer - paramount pictures こ…

『3月のライオン』(アニメ版)感想②:桐山零の見習い時代

10月から第2シリーズの放映がスタートした『3月のライオン』(公式サイト)。このアニメについては、以前当ブログで第1シリーズ前半分(第1話~第11話)の感想を書いたんですが、 『3月のライオン』(アニメ版)感想①:「競争」と「共同体」のバランスゲー…

『10 クローバーフィールド・レーン』雑感

劇場公開時に見逃していた『10 クローバーフィールド・レーン』(2016年)をようやく観たので(面白かった〜)、感想というか、この映画にまつわる雑感です。 傑作だった前作『クローバーフィールド』(2008年)は、「疑似ドキュメンタリー形式で作られた怪…

『クズの本懐』感想(後編):花火と茜・ひとりのヒロイン

今年の1~3月に放映されていたアニメ版『クズの本懐』(公式サイト)。放映中に第1~6話までの感想はアップしていたのですが、 『クズの本懐』感想(前編):代替可能な恋愛関係 この内容を前提としたうえで、「後編」として、シリーズ全体の感想です。今回は…