ねざめ堂

アニメ・映画・音楽

『リズと青い鳥』雑感(再掲)

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 このブログでは年末に『今年もまた暮れてった』というタイトルの記事を掲載するのが毎年の恒例行事になっています。

 内容はたいてい、雑然とした一年間の振り返り。短時間で書き散らしてさっとアップして、お正月が過ぎると引っ込めてしまうという、松飾りみたいな感覚で気軽に更新している記事です。

 去年、2018年末の記事では、春に公開された『リズと青い鳥』(制作:京都アニメーション)にまつわる雑感を書いておりました。なにせ上に書いたような性質の文章なので、読み返してみると、勢いまかせの乱暴なところが目につきます。

 でもそのぶん、昨年末にひとりのアニメ・映画好きが、喜ばしい驚きをもって京都アニメーションの作品と向きあっていた感じが無防備に表れているのではないかな、と思い、あらためて投稿し直すことにしました。

 (以下、2018年末の記事の再掲です。基本的にストーリーには触れていませんが、記事のいちばん最後で、ちょっとだけ結末についての感想を述べています。ネタバレを気にする方はご注意ください。)

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『ハウンター』感想:抑圧の連鎖と、その終焉

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 ヴィンチェンゾ・ナタリ監督『ハウンター』(2013年)の感想です。

 近年ではドラマでの活動が目立つナタリにとっての、いまのところ最後の「劇場用映画」(この定義も揺らいでいるのでカギ括弧つき)。
 


Haunter Official Trailer #1 (2013) - Abigail Breslin Movie HD

 

 この監督については、長編デビュー作『キューブ』(1997年)から『スプライス』(2009年)までのキャリアをざっと振り返るような記事を書いたことがあったんですが、今回の記事はその補完という位置づけです。

 

『スプライス』感想:抑圧と反発の連鎖

 
 テーマや物語構成の面において、『ハウンター』はかなりの程度、ナタリの前作『スプライス』と対になる作品として構想されています。

 本文中では両作の対照関係にふれる都合上、『ハウンター』にくわえて『スプライス』のネタバレもしているので、ご了承ください。

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