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『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』感想①:変えられる / 変わってしまうものとしての過去

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 放映中のアニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』(公式サイト)の感想です。原作小説は未読なので、アニメ版のみについての内容になっています。

 今回はテーマごとに、記事を ①過去編 ②未来編 の2本に分けてみました。どちらも、第1話~第6話(現時点での最新話)までのネタバレをしていますので、ご了承ください。

 

◯過去と現在の相互作用

 『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』が扱っている中心的なテーマは「過去と現在の相互作用」ではないかなーと思います。

 「過去」と「現在」との関係について、一般的には、過去に起こった出来事は「もう変えることのできない、固定化されたもの」で、その固まった土台の方向性の上に「現在」が積み重なっていく…みたいな捉え方をされることが多いと思うのですが(美少女ゲームのルート分岐を連想してもらっても良いかもしれません)。

 でもこの作品で表現されているのは「過去と現在はお互いに影響を与えあっているんだ」という認識なのですね。*1

 こうした認識は、作品のOP/EDテーマ曲のアートワークでも表現されています。2枚のジャケットを合わせると1枚の絵になるデザインなんですけど、

 

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(左:OP曲 右:ED曲)

 

 「現在」のヴァイオレットと「過去」のヴァイオレットのあいだを無数の手紙が行き交っており、両者があわさって「一通の手紙」になっている、というアートワークなんですね。過去と現在が、見方によっては、ヴァイオレットという一人の人間のなかで同時進行している…みたいなイメージ。

*1:もしかしたら京都アニメーションが、90~00年代美少女ゲーム的な「ルート分岐・マルチエンディング式作話」から「我々にはひとつのルートしか選べないが、そのルートには(個人の主観のなかでは)可塑性があるんだぜ式作話」へとステップを進めたのではないか...という個人的な仮説(妄想)を持っているのですが。

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